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ムハマド・ユヌス博士の講演から考えるビジネスの本質

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Photo by : BRICS Business Magazine

今日はムハマド・ユヌス博士が日本ホスピタリティ財団主催のユニバーサルホスピタリティアワードで講演をするというので参加してきました。

ムハマド・ユヌス博士は、1983年に無担保小口融資(マイクロファイナンス)を行うグラミン銀行を創設し、2006年にグラミン銀行とともにノーベル平和賞を受賞された方です。

マイクロファイナンスやユヌス博士については知っていたので、彼が日本で講演をすると知ってすぐに申し込みました。

講演はユヌス博士が40分ほど基調講演を行い、その後パネリストの方々がユヌス博士に質問をするという流れです。

1時間という短時間の講演であるにもかかわらず、ユヌス博士が考えるソーシャルビジネスの話や実際にグラミン銀行で融資をしたバングラデシュの女性の話など、非常に内容の濃い講演でした。

その中でも特に僕の心に響いた2つの話を紹介したいと思います。

経済とは酸素である

ユヌス博士は講演が始まって間もなく、「経済とは酸素である」と言いました。酸素がないと苦しくなる、つまり経済がないと生活できないということです。

ユヌス博士は「酸素がないと生活できないのに、私たちは貧しい人に酸素を供給できていないことに気づいておらずそれを彼らのせいにしている。」と言いました。

貧困は私たちのシステムが作り上げたもの

ユヌス博士が言いたかったことは、貧しい人に問題があると思われがちだけれども、貧しい人に問題があるのではなく環境やシステムに問題があるということです。

その一つの解決策としてソーシャルビジネスを推奨しています。

ソーシャルビジネスとは社会課題の解決に向けてビジネスの手法を用いて取り組む事業のことです。

ソーシャルビジネスの力を借りれば既存のシステムや環境を変えることができると言います。

実際にユヌス博士はマイクロファイナンスという手法を用いてそれを実現してきました。銀行は通常、返済の可能性が高い富裕層にしか融資をしてきませんでしたが、ユヌス博士は貧困層に融資をするという革新的な手法で既存のシステムを変えてきたのです。

世の中には2種類のビジネスがあり、1つは利益主義のビジネスであり、もう1つは社会課題を解決するビジネスです。このどちらか一方に注力する必要はなく、両方を追求することは可能であり、それこそがソーシャルビジネスだとユヌス博士は言いました。

ソーシャルビジネスはビジネスの基本

ユヌス博士が退席された後に、パネリストとして出席されていた株式会社あなたの幸せが私の幸せの代表取締役社長を務める栗原志功氏が口を開きました。

「ソーシャルビジネスという言葉が嫌い」

僕も最初はこの人何言ってるんだと思ってしまいましたが、話を聞くと納得してしまいました。

栗原社長は「ビジネスの基本はソーシャルビジネスなんです。誰かのために、社会のために事業を行うことで見返りをもらうのがビジネスの本質です。ソーシャルビジネスという言葉が使われる背景には、利益主義でビジネスを行う企業の存在があるんです。」と言いました。

確かになー、社会のためにならないビジネスはいずれ淘汰されていきますしね。

そういえば最近株式会社スタートトゥディの代表取締役社長を務める前澤友作氏もTwitterでこのようなことを言っていました。

そう考えるとすべての企業は真の意味でのビジネスを追求していく必要があり、そうでなければいずれ淘汰されてしまうでしょう。

グラミン銀行を設立した背景

ユヌス博士の講演が終了し、パネリストからユヌス博士に「なぜグラミン銀行を始めたのですか?」という質問が飛びました。

ユヌス博士は当初銀行に対してバングラデシュのお金のない住民に融資をするよう直訴したらしいのですが、銀行は「貧乏人には銀行の融資を受ける資格はない。」と言い取り合ってくれませんでした。

そこでユヌス博士はポケット・マネーを住民に貸し与えました。すると住民は大喜びし、ユヌス博士はそれにすっかり心を打たれ「こんなことでみんなに喜んでもらえるなら、どんどんした方がいいのではないか」と思い、融資を始めたそうです。その後規模がだんだんと大きくなりグラミン銀行を設立しました。

銀行について知らないことがメリットだった 

グラミン銀行は貧しい人に融資をするという今まで考えられなかった革新的な銀行です。ユヌス博士はこれに対し「銀行について知らないことがメリットだった」と言います。もし銀行について詳しく知っていたら、この革新的なアイデアは不可能だと諦めてしまっていたかもしれないと言っていました。

詳しくないがゆえに様々な障害や枠組みを気にせず、革新的なアイデアを実現することができたのでしょう。

 まとめ

ソーシャルビジネスは社会課題を解決しつつ利益も獲得するビジネスです。

日本でもソーシャルビジネスが増えつつありますが、その多くが利益を創出できておらずボランティアになっていることがあります。ボランティアや寄付は出発点としてはいいですが、持続可能性に乏しいので限界があります。

とはいえ、ソーシャルビジネスという概念が普及してきているということは社会にとって良いことなので、今後はその質が問われてくるでしょう。